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いっぺ
・子どもが学校に行かないのは、嫌なことから逃げているのではないか。
・自分やパートナーが、子どもを甘やかしているから学校に行かなくなるのではないか。
このように、子どもが不登校になっているのは「逃げ」や「甘え」だと思っている親御さんが一定数いらっしゃるようです。
また、子どもを甘やかしている親だという目で見られているのではないかと周囲の目が気になる親御さんもいらっしゃいます。
この記事では誤解されやすい「甘え」について考察した上で、不登校における甘えとその受け止め方について考えていきます。
先にお伝えすると、甘えはお子さんの自立にとって必要不可欠なものです。
お子さんの自立に必要な「甘え」を受け止め、今後の親としての関わり方について考えてみましょう。
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甘えの定義
初めに曖昧でわかりにくい「甘え」とは何か?から考えてみましょう。
精神分析医の土居健郎氏は、甘えは日本人特有の感情であり、甘えについて次のように定義しています。
一方が相手は自分に対し好意を持っていることがわかっていて、それにふさわしく振る舞うことが「甘える」ことなのである。ここで肝腎なのは相手の好意がわかっているということである。
土居健郎著『甘えの構造』(増補普及版)弘文堂 2007年 P.4
つまり、甘えは相手からの好意に基づいて他人に何かをしてもらう行為だといえます。
小さな子どもを思い浮かべるとわかりやすいですが、子どもが小さいうちは「おかあさんみてて!」「絵本よんで!」「だっこして!」とひっきりなしにおとうさんやおかあさんに要求しています。
こういった子どもの要求に親が無条件で応えることで、子どもから親への信頼が構築され、子どもはさらに自分の要望を親に伝えるようになります。
それらの繰り返しによって親子間でのコミュニケーションが図られ、強い信頼関係となっていくのです。
親子関係は人間関係の理想的な形で、他の人間関係においても、親子関係のような親密さを求めるべきだとしています。
甘えと甘やかしの違い
甘えの定義についてみてきましたが、似たような言葉で「甘やかし」があります。
これらの言葉はしばしば混同されて使われますが、行動の主体によって明確な違いがあります。
結論からいうと、甘えは子ども主体の生存に必要な行動であるのに対し、甘やかしは親主体の自己中心的な行動です。
甘えと甘やかしの違いについて考えてみましょう。
必要な「甘え」とは
子どもは、親への甘え→親からの分離→甘え→分離 といったような過程を繰り返して最終的に自立への道を歩みます。
ですので、子どもが親に甘えるのは子どもの自立にとって必要不可欠です。
「甘え」というと「甘えるな!」とか「甘えてばっかりじゃだめでしょう!」などと叱責する場面でよく使われる単語であるイメージがあるので否定的な見方をしてしまいますが、そうではありません。
親に甘えることで親と子の愛着関係が築かれ、家庭は子どもの心の安全基地となっていきます。
生まれてきた子どもがいちばん初めに築く人間関係は親との関係です。ここでより良い愛着関係が築かれることで、その後の人生で出会う友だちや先生、同僚や上司、後輩などの社会での人間関係にも良い影響をもたらすことになります。
親子の人間関係は子どもにとって人間関係の基礎であり、愛着関係に欠かせないのが「甘え」なのです。
甘やかしとは
その一方で、親が子どもを「甘やかしている」というのは、どのような状況を表しているのでしょうか。
例えば子どもが自分で準備できるのに、「心配だから」と親御さんが色々と準備してあげること、ありませんか?
これも親都合の甘やかしです。
甘やかしの状況というのは、「危ないから」「心配だから」などと子どもができることを(ときには先回りして)親がやってしまうことだといえます。
また、子どもが欲しいものを何でも言われるまま買い与えてしまうことも、「買えないことを納得させるのが面倒」「嫌われたくない」などといった親都合の甘やかしといえます。
不登校は「甘え」なのか?
さらに、不登校における「甘え」について考えていきましょう。
子どもが不登校に至るまでは、お子さんが学校に行きたがらないところから始まります。
「行きたくない」と言葉で言える場合もあれば、頭が痛い、朝起きられないなどの身体の症状として出てくる場合もあります。
「学校を休ませてほしい」という自分の要望を親に伝えているという見方をすると、不登校は「甘え」であるといえそうです。
ただ、よく聞く「不登校は甘えだ」という意見で使われる「甘え」とは、「だらけている・ズルしている・気合が足りない」などの意味合いで使われている風潮がありますが、その場合でいうと不登校は甘えではありません。
子どもが「学校に行きたくない」と言い出したときには、心身に大きな負担がかかっていて、これ以上頑張ることができずに休息が必要な状態であることが多いです。決してだらけているわけでも、ズルしているわけでも、気合が足りないわけでもありません。
文部科学省の通知でも、不登校児童生徒への支援に対する基本的な考え方の中で
不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある
令和元年10月25日「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」
と言及しています。
親ができる「甘え」の受け止め方
それでは、子どもにとって必要な甘えを親が受けとめるにはどうしたらよいでしょうか。
「ただでさえ子どもが不登校で精神的な負担が大きいのに、もうこれ以上は自分には手一杯で無理!」と思う親御さんも多いかもしれません。
特別な能力がいらず、お金や手間はかからない、すぐに取り組める方法をご紹介します。
甘えを受け止めるのはどんな親でもできます。親と子どものどちらのストレス緩和にもつながるメリットがありますよ。
まずは子どもの話を聞く
子どもの甘えを受け止めるのに最も基本的な方法は、子どもの話を聞くことです。
そんなこと?と感じた方もいるかもしれませんが、子どもの話を聞くのは、できているようで意外にできていないものです。
子どもの話を聞くとは具体的にどういうことかを考える時に参考になるのが、カウンセリング分野でよく使われる「傾聴」です。
各種カウンセリングの手法のうちでも効果が高い手法の一つとされ、日本でもカウンセラーなどの心理の専門家がメンタルヘルスケアの面談する際に広く使われています。
学校におけるスクールカウンセリングの現場でも使われているので、これまでに実際に受けた方もいるかもしれません。
専門家でなくても、親子間で活用しても十分有効な手法です。
具体的な内容は次のようになっています。
相手の話を、相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら理解しようとする。
2.無条件の肯定的関心
相手の話を善悪の評価、好き嫌いの評価を入れずに聴く。相手の話を否定せず、なぜそのように考えるようになったのか、その背景に肯定的な関心を持って聴く。そのことによって、話し手は安心して話ができる。
3.自己一致
聴き手が相手に対しても、自分に対しても真摯な態度で、話が分かりにくい時は分かりにくいことを伝え、真意を確認する。分からないことをそのままにしておくことは、自己一致に反する。
引用サイト:厚生労働省「働く人のメンタルヘルスケア・ポータルサイト こころの耳」
世間話、子どもの好きなゲーム、芸能人の話題など、どんな内容でもよいので、まずはお子さんが話したタイミングでしっかりと話を聴いて下さい。
適当に相づちを打って終わりにしたり、自分の意見を一方的に押し付けたり、子どもの考えや感情を否定するのはやめましょう。
どんなに忙しくても、自分にとって興味がない話題であっても、興味や関心を持って聴きましょう。
子どもが自分の話を親が聴いてくれると思えると、困っていることや自分の感情、考えていることなどを伝えやすくなります。
子どもも最初から言葉で上手く表現できないかもしれませんが、こうした会話を繰り返して子どもから親への信頼が増し、子どもの情緒も安定してきます。
傾聴は親にとっても大きなメリット
傾聴によって子どもの感情や考えに共感・共有できれば、親の精神的なストレスの軽減につながります。
子どもが何を考えているのかわからないと、親は精神的なストレスを抱えることになります。
また、日頃からコミュニケーションを取れていることで専門家へ的確に相談できたり、具体的な方策を決めていけることにも繋がります。
難しい場合は第三者の力を借りる
子どもと会話するのが難しい、話しかけても返事すらしてくれないなど、会話するきっかけすらつかめない親御さんもいるかもしれません。
思春期などお子さんが精神的に不安定などの理由で難しい場合もあります。
そのようなときは専門家に相談するなどして、第三者を通してみるのもよいかもしれません。
子どもへの「甘やかし」はNG
子どもにとって必要な甘えの受けとめ方についてみてきましたが、先に取り上げた甘やかしについて今一度考えてみましょう。
甘やかしは「親都合で子どもができるはずのことをやってあげてしまうこと」でした。
甘やかしてしまった方が親が楽な場面も多いので、甘やかしを禁止することは親としても忍耐が必要ですし、時間もかかるかもしれません。
ですが、子どもを甘やかしてしまうと、子どもは自立への道に進めません。
「甘えさせている」つもりが「甘やかし」になっているケースも少なくないので、今一度、ご自身の行動を振り返ってみましょう。
まとめ
不登校での必要な甘えは受けとめ、親としての関わり方を考えてみましょう
子どもにとって、学校に行かないのは親に対する甘えであり、必要な休養です。
親が子どもを甘やかしているわけではありません。
不登校における甘えは子どもが自立への道を歩むのに必要な過程と考え、まずはしっかりと子どもの話を聴いてみましょう。
状況を変えるには時間がかかりますし、最初からなかなか上手くいかないかもしれません。
お子さんがこの先の人生を歩む中で困難な状況に直面したときに、適切な親子関係があることはお子さんにとって精神的な大きな支えとなるはずです。
不登校の時期だからこそ、今一度、お子さんとの適度な距離、適切な関わり方について考えてみませんか。
この記事がお子さんへの関わり方を見つめ直すきっかけとなれば、幸いです。
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